転職活動を行う際は、最初に「キャリアの棚卸し」から行うことをお薦めします。キャリアの棚卸しとは、これまで仕事で行ってきたことを時系列で堀り下げることを指します。目立つ仕事や大きな成果だけでなく、普段の業務や経験を振り返ることが大切です。自身の強みや価値観を明確にすることにより、自身にとって納得のいく転職につながります。
しかしながら、転職活動以外でキャリアの棚卸しをする機会はあまりないため、実際に考えてみようとすると難しく感じる方もいるかもしれません。この記事ではキャリアの棚卸しの目的や方法を解説します。これまでのキャリアの振返りに使って頂けるシートもダウンロード可能ですので、ぜひご活用の上、キャリアの棚卸しに取り組んでみてください。
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キャリアやスキルの棚卸しの目的
キャリアやスキルの棚卸しには3つの目的が挙げられます。
1つ目は、職務経歴書・英文CVを説得力のあるものに仕上げること。
2つ目は、自分の強みや価値観と企業・ポジションが求める人物像とのすり合わせを行うこと。
3つ目は、自分自身の価値観を見つめることにより、転職活動に幅を持たせることです。
では、一つずつ詳しく見ていきましょう。
職務経歴書・英文CVの仕上がり向上
転職活動では、履歴書や職務経歴書、英文CVの記載が必須となります。キャリアの棚卸しを通じて、これまでの仕事のエピソードと自分の強みや弱みを結び付けると説得力のある職務経歴書や英文CVに仕上がります。海外転職では、内定後のVISA申請の際、過去の職務経歴書を併せて提出する必要がある国もあります。アプライをするポジションと書類上に書かれた過去の経験との関連性が証明される内容になっていることが望ましいので、英文CVの内容は非常に重要です。
企業・ポジションが求める人物像とのすり合わせ
キャリアの棚卸しを行うことにより、自分自身の強み・スキルや志向性が明確化されるため、企業・ポジションが求める人物像とのすり合わせができます。それにより、面接でスムーズかつ説得力のある自己PRができるだけでなく、入社後の採用企業とのミスマッチを未然に防ぐことにもつながります。将来的に目指すキャリアがある場合は、現状との「差」も実感できます。長期的なキャリア形成を考えるうえで、今何をすべきか、次に何をすべきか、目標とアクションプランが立てやすくなります。
転職判断の幅の拡大
キャリアの棚卸しをする際には、自分自身を客観視するので、日常生活では気づきにくい価値観を発見することも珍しくありません。大切にしている価値観がわかると、「働きたい職場」を選ぶ際の軸が定まり、判断がしやすくなるうえ、転職における可能性の幅も広がるでしょう。
誰でもできるキャリアの棚卸しの方法
キャリアの棚卸しの際には、数字や具体的なエピソードをイメージすることが大切です。企業・ポジションによって求める人物像は異なるため、棚卸しをする際には強みをいくつかピックアップしてみましょう。
実際に自己PR文を作成する際は、棚卸し結果を基にして応募企業が求める像を意識しつつ100字~200字程度にまとめます。
基本的なキャリアの棚卸しの方法
業務実績を数字や具体的なエピソードでまとめます。お客様や顧客からの感謝の言葉を書き出すのもおすすめです。また、以前の上司から得た評価コメントも客観的な視点を得るヒントになります。
実績の棚卸しと同時に、今までのキャリアで行ってきた仕事に対して「ターゲットは誰だったか」「どのような価値を提供したか」「どのようなやり方をしてきたか」を個別に、かつ具体的に分解します。その上で、自分が意識してきた仕事での創意工夫を付け加えます。
作業を進めると、強みを発揮した共通の環境やキーワードが見えてくるはずです。それを基にして仕事探しや自己PR文の作成に活かします。自らの軸が見つかり、一貫性のあるストーリーができると、書類作成だけでなく、面接の場面であっても臨機応変な対応ができるようになるでしょう。
また面接の場面では、自分の強みを経験や実績を裏付けにしながら、どのように企業に貢献できるかを説明できれば理想的です。
JACオリジナルキャリア棚卸しシートの利用方法
「キャリアの棚卸しをスタートしたいが、どこから手をつければいいか分からない」という方はJAC Recruitmentオリジナルキャリア棚卸しシートを利用してみましょう。ここではシートの利用方法を解説しますので、まずは下記をダウンロードのうえ、以降の説明をご覧ください。
過去から現在まで
1.経験してきた「勤務先・職種」
会社名、従業員数、資本金、事業内容、所属部署、職種を書き出し、また同一の職種でも昇進や転職などによって役職が変わっている場合は、例にならって記入してください。
例)営業、営業リーダー、営業マネージャーなど
2.経験した「職務内容」
所属部署の人数・役割、自身のポジション・部下の人数、担当した業務範囲、商品・製品やサービスとそのターゲット、担当顧客(企業・個人)数/エリアを記入してください。
特に海外転職に際しては、過去の海外勤務経験はもちろん、自社の海外拠点や海外顧客とのやり取り、日本語以外の言語を使った業務などがあれば漏れなく記載してみましょう。
例)既存顧客管理、新規開拓、海外出張、企画調査、後輩指導・育成など
3.職務上で実現した「実績」
目標達成率、売上実績、通過した企画などを、できる限り数字を用いて記入してください。
例)売上実績、目標達成率、対前年比、担当企業数、作成したマニュアル、企画書など。
間接部門などでどうしても数字表現が難しい場合は、仕事上の具体的なエピソードをイメージしてみましょう。
4.上記「勤務先・職種・職務・実績」についての「自己評価/満足度」
5段階評価 (5高い → 1低い)
5. 「自己評価/満足度」得点の「理由」
例)自身の能力を最大限に発揮できた(できなかった)、仕事はやりがいがあったが会社のやり方に不満がある、社内外の関係者から高い評価を得られた、など。
6. 「変動可能性」
・満足度の高い項目→ 現在の会社でさらに満足度を伸ばしていける可能性はあるか/転職によってさらに伸ばしていける可能性はあるか
・満足度の低い項目→ 現在の会社で改善していける可能性はあるか/転職によって改善できる可能性はあるか
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将来について
7. 「希望職種」 8.「希望職務」
これまでに経験してきた職種、職務で一貫性をもって継続発展させたい内容に加えて、今後新たに「やってみたいこと」を記入してください。昇進による職務権限の拡大、異分野の仕事などもあてはまります。
9. 「目標/理想像」
希望する職種・職務の延長線上として、どんな自分になりたいのか、どんな状況に至りたいのか、目標や理想とする自分自身の姿やキャリアを具体的に記入してください。
10. 「なぜ」その目標/理想なのか
昔から憧れていたから、将来性がありそうだから、といった、素朴なイメージが最初に浮かんでも大丈夫です。そこからもう一歩、思考を進めて「自分はなぜそう思うのか」と「なぜ」にこだわると、実は自分が大事にしている価値観に出会えるかもしれません。
特に海外転職の場合は、なぜ海外なのか?という素朴な問への自分なりの回答が後の意思決定においても重要な意味を持つことがあります。焦って答えを出す項目ではありません。自分にとって納得感のあるキーワードに出会えるとキャリアの充実につながります。
11. 「目標達成手段」の有無
現在勤務中の会社で、その目標を達成することができるか記入してください。達成が不可能だと思える場合は、その理由も記入してください。
海外転職を成功させるためには、経験・スキルの検討に加えて、「動機」について深堀りをするためのキャリアの棚卸しが重要な作業になります。もしキャリアの棚卸しを進める中で考えに詰まったり疑問が生じたりした場合は、お気軽にJAC Recruitmentのコンサルタントにご相談ください。